植草甚一の「僕の読書法」
植草甚一の「僕の読書法」

植草甚一の「僕の読書法」

僕の読書法

この本にはカポーティの近況という文があります。近況と言ってもカポーティは1984年8月25日に亡くなっています。この本が出版されたのは1976年10月、「冷血」が書かれたのが1966年。ここでは1973年頃のカポーティについてアメリカの雑誌「ギャラリー」に書かれたことをJ.J.氏こと植草甚一が引用して伝えてくれています。

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ベストセラー「冷血」からの収入は六年間に四百万ドル以上
(たとえばマリオ・プーヅオの超ベストセラー「ゴッドファーザー」でも百万ドル見当)
になった。
カポーティーは五フィート三インチの小男で四十九歳だが、
目下進行中のライフワークは「冷血」の三倍か四倍になるらしい大長編の「願いどおりになった悟り」
という実名小説で、索引がつくほど大勢が登場し、
それも悪口だらけだそうだ。
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と書かれてます。この「願いどおりになった悟り」というのは
未完に終わった「叶えられた祈り」のことでしょう。

植草甚一スクラップブックのシリーズは復刊されていて、
今でも手に入るので、買ってまた、読んでみようと思うのですが、
独特な語り口と、その雑学とは呼べないほどの知識には、
インターネットの時代であっても追いつくことはできない気がするし、
今生きておられたら、もっと色んな仕事をされていたのじゃないかと思います。

それにしても知らない作家と本の紹介ばかりです。
そして古書店巡りは本当に楽しそうに書かれてます。
よほど好きだったんでしょうね。

植草甚一の本 | 晶文社

では。