world where it disappears

下関私生活

*

生は暗く、死もまた暗い

   

馬鹿のように「生は暗く、死もまた暗い、」と呟き、それと共に、実際には何の音楽も聞えて来ないのに、私の愛する、そして彼もまた愛していた一人の作曲家の或る主題を、心の中で、聴き惚れていた。

「告別」福永武彦(位置74)

福永武彦「告別」(561/1000)を読んだ。40年ぶりくらい。福永武彦を最初に読んだのは「夜の三部作」で、思春期真っ只の高校生の時だった。写真は当時買った本。昭和48年。今回はkindleで。

今の私は物語の主人公の年齢をすでに越えているのだけれど、高校生のひ弱な精神と心で感じたことと、今この年で受けた印象があまり変わらないのに改めて驚きます。

出だしは親友の上條の告別式の場面で、続いて私から見た上條の闘病生活やその生活について書かれています。そして段落が変わった途端に視点と時間が変わって、過去に飛び上條の心の中が描かれます。ここではもう一つの死、娘の夏子の自殺が描かれます。心の中にある孤独と愛と死。福永武彦の小説の中にある常にあるテーマ。

「告別」はマーラーの「大地の歌」がモチーフになっています。マーラーの「亡き子をしのぶ歌」をモチーフにしたミステリを読んだことがありますが、マーラーの音楽は心奥にある何かを揺れ動かせて覚醒させる力があります。私にとってもマーラーは好きな作曲家の一人です。

心の中の動きはカタカナで表記されていて、カタカナとってもも読みにくいのでじっくり読むので飛ばし読みができません。それがいいのかも。これが「死の島」になるとカタカナ表記が多すぎて読み飛ばす羽目になっちゃうんだけどね。

もう一つの短編、記憶喪失の男の生活を描いた「形見分け」も同じく孤独と愛と死を描いてます。

では。

 - ぼくの読書法

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