world where it disappears

下関私生活

*

仁保の嘉村磯多生家に行ってきた。

      2015/01/24

嘉村磯多生家(山口市仁保)

山口市仁保上郷の県道わきにある嘉村磯多の生家です。江戸末期に建てられたという茅葺き屋根の民家です。

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

嘉村礒多は明治30年(1897)12月15日裕福な農家の長男として生まれ、昭和8年(1933)11月30日、36歳の短い生涯を閉じました。

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

ウィキペディアはこちらから 嘉村礒多 – Wikipedia

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

最近になって遅ればせながら嘉村磯多の小説を読んでみました。iPhoneの青空文庫アプリ skybook がディスカウントされていたので購入し、「崖の下」「足相撲」をダウロードして昼休みに読んでみました。「格調の高い特異な文体」ということでしたが、旧かなづかいにもかかわらすすらすら読めましたね。iいわゆる私小説ですが、どちらもそれなりに興味深い話で面白かったですね。

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

鼠色のきたない雨漏りの條(すぢ)のいくつもついてゐる部屋の壁には、去年の大晦日(おほみそか)の晩に一高前の古本屋で買ひ求めた、ラファエル前派の代表作者バアーンジョンの「音樂」が深い埃を被て緑色の長紐で掛けてあつた。正面の石垣に遮られる太陽が一日に一回明り窓からぎら/\と射し込んだ。そして、額縁に嵌(は)められた版畫の中の、
薔薇色の美しい夕映えに染められた湖水や小山や城に臨んだ古風な室でヴァイオリンを靜かに奏でてゐる二人の尼僧を、黒衣の尼さんと、それから裾を引きずる緋の襠(うち)かけを纒うた尼さんの衣を滴(したゝ)る燦(あざや)かな眞紅に燃え立たせた。圭一郎は溢れるやうな醉ひ心地でその版畫を恍惚と眺めて呼吸をはずませ倚(よ)り縋(すが)るやうにして獲がたい慰めを願ひ求めた。現世の醜惡を外に人生よりも尊い蠱惑(こわく)の藝術に充足の愛をさゝげて一すぢに信を獲る優れた悦びに心を驅つて見ても、明日に、前途に、待望むべき何(ど)れ程の光明と安住とがあるだらう?
とどのつまり、身に絡(から)まる斷念の思ひは圭一郎の生涯を通じて吹き荒むことであらうとのみ想はれた。
(「崖の下」段落は読みやすいように変えました。)

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

目の前に情景が浮かぶような文章ですが、これは心の中を描いたもので、結局よくわからない主人公の思いが綴られているばかりですね。駆け落ちしてきた(不器用な?)男の生活の話なので、明るいはずのない話です。内容は別にしても、こういう文章は私には書けないですね。

 

嘉村磯多生家(山口市仁保)

生家手前の道路には石のレリーフがあります。こんな顔だったんだ、ということが分かります。

では。

(撮影日2009.05.27)


大きな地図で見る

 

 - 産業遺産とか建築物とか ,

ad




ad




  関連記事

火の山砲台跡
火の山砲台跡 その2

第4砲台の兵舎壕跡です。   写真を撮っていたら、見知らぬ男の方から話 …

渡辺翁記念会館
渡辺翁記念会館

渡辺翁記念会館は村野藤吾初期の傑作とされる。正面広場の階段に寄贈者の7社を記念し …

アブニール(菊川ふれあい会館)
菊川町ふれあい会館「アブニール」

菊川町で田部高校についで目立つ公共施設です。アブニールの中には会議室、大、中、小 …

日本最古の銅山 長登銅山跡
日本最古の銅山 長登銅山跡その4

やっとここまでやってきました。大切竪坑跡です。   見た目大きな穴です …

巨石の列石城山神籠石を見てきた。その4北門から駐車場

遊歩道はしだいに獣道ぽくなってきて、道というより溝という感じになってきました。道 …

人で溢れる前に行ってきたよ、三池炭鉱万田坑。その5まだ使えそうだった職場の機械たち

第二竪坑巻揚機室を出たところでガイドツアーは終了です。ここからは自由見学です。ま …

山の田交差点
山の田交差点

下関市内でも交通量が多い交差点、山の田交差点です。豊浦川から来るとここを通ること …

旧秋田商会ビルの屋上庭園一般公開に行ってきました。
旧秋田商会ビルの屋上庭園一般公開に行ってきました。 その1内部と1階

唐戸の交差点にある旧秋田商会の屋上庭園の一般公開に行ってきました。この日は連休の …

浜五挺唐樋(はまごちょうからひ)

山陽小野田市西高泊にある国指定史跡の「浜五挺唐樋(はまごちょうからひ)」です。 …

門司港レトロ 旧門司税関
門司港レトロ 旧門司税関

門司港レトロにある旧門司税関です。   建物の前にある説明板。 &nb …