world where it disappears

下関私生活

*

自分のことにさえ無関心な人々

      2017/12/16

60/1000 「無関心な人びと」アルベルト・モラヴィア

モラヴィアの処女作にして代表作。大学時代に読もうとして読めてなかった本を今更ながらkindleのお陰で読むことができた。

カルラは腕を上げて顔を隠し、そのまま泣こうとした。ところがもうひとつの驚きが彼女を待っていた。彼女の目はからからに乾いていたのである。努力をしてみても、涙はいっこうに浮かんで来なかった。彼女は泣くことができなかった。

 

俗物的にいうと、中ほどまでの興味はただ1点のみです。レオはいつカルラを抱くことができるか?、ということです。そしてレオがカルラを抱いた後は、それをいつマリアグラッティアが知るのか、知った時に彼女はどう思うのかということです。

貴族の女性の頭の中は男のことしかないのかと思ってしまうのだけど、実際、生活に困ることがなければ男と女の話しかないよね。

登場人物は仕事は財産を増やすことという貴族のレオ、とその愛人で借金が払えない貧乏貴族のマリアグラツィア、マリアグラッティアの娘カルラと息子のミケーレ、そしてレオの昔の愛人リーザ。

レオはカルラに色目を使うのだけどなかなか抱けない。かわりにリーザに復縁を迫ってみたりするのだけど、リーザはミケーレを誘惑しようとしているので拒絶する。リーザは拒絶したのはいいけれどミケーレを誘惑し損ねてしまう。リーザの家でレオと鉢合わせしたミケーレはレオにバカにされても腹も立てず、リーザに迫られてもドキドキもしない。

ミケーレには自尊心もなく人生に希望ももっていない。気持ちが淀んでいるというより生きる気力が全く感じられない。貧乏貴族の男の典型なのかもしれません。一方マリアグラッティアはレオに執着するあまりリーザに嫉妬し、レオが娘を誘惑したことに全く気が付きません。

可哀想なマリアグラツィア。

レオは単に自分の欲望に忠実で自分の都合で行動しているだけです。愛人であるマリアグラツィアはレオの欲望に翻弄され溺れているだけ。レオに抱かれたカルラは新し生活を夢見て母親にも弟にも無関心。

生きることに無感動な人々の物語。

翻訳物は読みにくかったりするのだけれど、この本は読みやすくてどんどん読みすすめられたのだけど、内容がどうにもやりきれなくて読了まで時間がかかりました。

kindle unlimited 買うと756円。

 - ぼくの読書法

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