水道局を舞台とした人間関係がリアルな推理ドラマ
水道局を舞台とした人間関係がリアルな推理ドラマ

水道局を舞台とした人間関係がリアルな推理ドラマ

 

91/1000「殺意の双曲線 水道局長のアリバイ」花小路夕一

A市水道局の総務課広報担当主査海野亜希子が死んだ。犯人として発達障害のある男が逮捕されたのだけど、「感情的摩擦やもめ事を避けようとするあまり、安易に相手に同調してしまう」性格で、取り調べであっさり殺人を認めてしまう。

携帯電話が見つからないことと殺害方法と状況が食い違っていることで殺人犯が他に考えられる。業界紙の記者相良裕也は海野亜希子と肉体関係があったため犯人を探そうとする。

水道局の内部の様子がこと細かに描写されています。水道の施設や作業などの描写じゃなくて、役人同士の確執だとか政治家との結びつきとかいった人間関係、特に出世競争については目の前で実際に行われているかのようなリアルさです。ひょっとしたら著者は水道関係で働いているのじゃないかと思えるほど。

相良裕也は記者なので役所内部で局長や部長に面会しながら話を聞いて推理していく。ただ探偵役というより話をすすめるための人物なので、現場に出向いて体を使って犯人を追い詰めていくことはしない。はらはらどきどきはない。淡々と物語はすすんで、タイトル通りいつの間にか犯人がわかる。話の進め方がうまい。

アリバイも凝ったトリックとかではないので推理小説としては物足りないですね。kindleの説明には官能推理小説と書かれてますがそういう部分は希薄で、役所ドラマですね。推理の部分を横にこのドラマを楽しみましょう。

kindleで 324円