「かけら」は集めてもかけら、だよね。
「かけら」は集めてもかけら、だよね。

「かけら」は集めてもかけら、だよね。

28/1000 「夏のかけら」幸田玲

 

達也は勧められるまま、ダイニングテーブルの椅子に座った。綾香が差し出したグラスを受け取った。そのとき、達也の指先が綾香の指にふれた。温かくはなかったが、指先に神経が集中するほど、綾香を意識した。はじめてふれた指先に達也の胸の内はざわめき、手を握り締めたい衝動にかられ、綾香を見つめた。すると、緊張した面持ちで綾香は見つめ返し、ためらうようにグラスから手を離した。Read more at location 837

いいですねえ、こういう表現。エロいですねえ。少年みたいにどきどきします。

花を買いに行った恋人が交通事故で亡くなってしまい、守ってやれなかったことでうつ状態になって、ついには仕事をやめてしまった建築家とバリ雑貨とカフェの店を開くための家のリフォームを依頼してきた女性とのラブストーリー。

男の人一方的な思いで物語はすすんでいって、女が仕入れのため滞在しているバリまで追いかけて行くのだけど、そこで女には恋人がいて、あるトラウマをかかえていることがわかる。男はそこで女に亡くなった女の幻想を私に見ているのだと言われる。

悲しい。希望がない。

このラブストーリーは、ここから物語が始まらないといけないよね。

たとえばですが。

この男が色んなことをしていって、その結果女が恋愛に対する恐れ不安を克服することに成功して二人が付き合い始める。

ところが、何かのきっかけでまたうまくいかなくなって、ついには別れることになった。

だけども、それまでの付き合いで女も男も未来に希望を持てることに気がついて、前向きに生きていけるようになった。といったような。

この小説は「月刊群雛」20号~25号に掲載されたものだそうです。

kindle unlimited 買えば330円。