9/1000 「ラインの蒲公英城と白い女」本間かおり
「つねに社会に強制され、恣意的に罰せられている犬のような生。毎日の、砂をかむような不毛な性のいとなみ。働いても働いても、のがれることのできない貧困。『人は人にとって狼である』裏切りといじめの世界。なんの罪も犯していないのに、とつぜん愛する者のいのちが奪われる戦争や災害。これが私たちのすむ世界です。
これは何小説と言ったらいいのでしょう。作者によると「人間の情念と絶望をスリリングに描く、ハイブラウな読者のためのサスペンス・フィクション」て言ってます。
私はハイブロウな読者なんだろうか?。
本は読み終えた瞬間から忘れ始めるけのだど、この本はいつまでも忘れないと思う。
物語は子供を不幸な事故で亡くしたマルレーネが、ベルリンの工場跡にある自殺クラブを訪ねるところから始まります。物語の最初から暗くて空気が重いです。
クララ、エミール、テオ、フリッツ、この自殺クラブに関わる人々は、生まれてこなければよかったと思えるくらいに悲惨です。
途中から物語が大きく展開していって、原発にまつわる、国家的陰謀が暴かれてくのだけど、最後までこの自殺クラブのメンバーが救われることはありません。
kindle 105円。私が買ったときは無料。kindle unlimitedになっています。