52/1000 「植草甚一スクラップ・ブック7 J・Jおじさんの千夜一夜物語」植草甚一
ミステリーの話も面白いけどジャズの話も面白い。いや、なに、男爵夫人パノニカの話だよ。チャーリー・パーカーが死んだのが彼女のアパートだったって話。
切手偽造師ド・スペラーティーの話もどうやったら完璧に偽切手が作れるのか不思議だね。
突き刺さったのはファウルズのコレクターの話。これは映画にもなったし、若い女性を蝶の標本のごとく監禁する話なので、知ってる人も多いだろうけど、本を読んだ人は少ないだろうね。
この本はインターネットのなかった時代に、ディープで面白い話をしてくれる物知りおじさん、植草甚一のスクラップブックです。
1976年に刊行された本なのに、その語り口とあいまって、読めば読むほど宇宙のような広さを感じます。このシリーズは大学生の頃に何冊か買っていて、未だに黄色くなった本を持っていたりもするのだけど、今では電子書籍で読めることができるようになっています。
J・Jおじさんは1979年に71歳で亡くなられています。天国でも風呂敷を持って、古書店を巡りながら、最近は掘り出し物の洋書が少なくなったな、とぼやかれてるでしょう。
BOOK LIVE!。822円