なつかしの子供たちの生活が思い出される物語
なつかしの子供たちの生活が思い出される物語

なつかしの子供たちの生活が思い出される物語

55/1000 「あひる」今村夏子

今村夏子は太宰治賞と三島由紀夫賞を受けた作家なのですが、今回はじめてこの「あひる」を読みました。

 

この本には3つの話が収められていて、「あひる」は第155回芥川賞のノミネート作品で雑誌に掲載されたもの。あとの2つ「おばあちゃんの家」と「森の兄弟」は書き下ろしです。

「あひる」はあひるの「のりたま」を中心に、ある一家のにぎやかになった生活をを描いたものです。家にやって来た「のりたま」のおかげで、子供達が家にやってくるので、それまで静かで寂しかった家が明るく賑やかになります。

2回ほど「のりたま」が病気になって、何日か「のりたま」のいない時があって、寂しいのですが、病院から「のりたま」が帰って来るとまた賑やかになるのです。病院から戻った「のりたま」は、病気の前とは微妙に感じが違っているのだけど「わたし」は何も聞かなかったんですよね。

このやさしさ、泣けます。

後の2つは微妙にあひるとつながっているので続けて読むとこの時代の子供たちの生活が目に浮かんできます。この時代というのは、よくわからないのだけれど、きっと戦後間もなくの、何もなかったけどのんびりとしてのどかな昭和の時代だと思います。

私の過ごした同時代の頃、あひるを飼っている家はなかったけれど、鶏は普通に飼ってた。内風呂もなかったけれど、あるひ五右衛門風呂がきて、薪割りとお風呂を沸かすのは私の仕事だった。ここではガス風呂なので都会っぽい。この物語には出てこないけど畳の表替えとか冷蔵庫用の氷の塊をリヤカーで売りに来てたのもこの時代じゃないかな。

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