おっさんにはまぶしいです。広島が舞台の青春の物語。
おっさんにはまぶしいです。広島が舞台の青春の物語。

おっさんにはまぶしいです。広島が舞台の青春の物語。

56/1000 「この恋と、その未来。1 -一年目 春-<この恋と、その未来。」森橋 ビンゴ

広島のお好み焼きも、もみじ饅頭も宮島の鹿も出てくる。ここは広島。そして高校生活を送る少年の物語。

 

 

未来の頭が触れていた肩のあたりが、まだ熱を持っていた。  俺の体が、未来に恋をしているのかもしれなかった。  未来が髪を掻き上げる度、ほのかに鼻を突く体臭が、俺を揺さぶる。  ほんの僅か触れ合っているだけの太股が、火のように熱い。  心でそれを、どれだけ駄目だと言い聞かせても、俺の体は否応なく反応してしまう。

普段はこんな小説は読まないのだけれど、タイトルに惹かれて1巻目を買ってしまいました。ラノベはなぜか長い。1巻では終わらないらしくこれも全部で6巻あるのだけど、1巻を買って直後にバーゲンで買いやすくなったので読まないうちに2巻~5巻を衝動買い。

父親は昔で言う火宅の人。家に殆ど帰ってこない脚本家で、愛人を連れて息子に会いに来るような野風増な男。主人公四郎には上に3人の姉たちがいて、いろんな用事を押し付けられた抑圧的な生活を送っている。姉たちから逃れて広島の全寮制の高校に入学して、学園生活をはじめます。

いや、青春ですな。初めて親元を離れて、心ウキウキワクワクするような生活がいきいきと描かれていてこちらまで楽しくなてってきます。青春とは決して明るいものではなくて、孤独と焦燥にさいなまれるものだと思っている私にとってはとてもまぶしい物語。

引用した部分のように肩や腕がちょっと触れ合うだけどどきどきした時代。そういう時代を思い出します。恋する相手の心と身体ががちょっと異なっているのが新鮮。

おっさんには眩しいです。

kindleで。583円。今だと140円。