62/1000 「犯罪特区COLD BRAIN」奏ちよこ
極端に言えば、食事中に目の前で殺人が起きても、その血が自分の食事を汚さない限りは、気にもせず食事を続ける。断末魔の叫びがあっても、喉が渇けば飲み物を取りにゆけるのだ。 死にゆく人間と殺す人間がいる、という認識しかそこにはない。 死んでゆく人間がいる事実と、腹が減っている自分とは全く無関係なのだ。
ハードである。ハードコア。ポルノのハードコアとは違う。エロはない。ハードコア・パンク。拳銃が火を噴き血が流れる。死体が出てくる。犯罪捜査に詳しい。関係者?。
SFである。設定がSF的である。かといって異世界転生ものではない。特殊なガジェットは出てこない。が近未来的。
で、究極のラブストーリー。共感がわかない異能の遺伝子。愛は感じるのではなく理解する。ハードコアラブストーリー。
最初は刑事物のサスペンスだと思った。最初から犯人を殺害する場面が出てきます。なんなんだこれは、と思っているうちに、新人の一樹(女性、いつきと読む)という高校を卒業して、警察学校を出たばかりの新米刑事が登場。物語はこの新米刑事をからめながら進んでいく。
この一樹何かあるんだろうな?、と思っていたら何かあった。とても驚いた。物語の半ばで犯人が捕まる。あとは余韻か、何があるんだと思っていたら、それからが更にハードだった。泣けた。
「ESCOAD 01 」で感じた驚きがさらに進化している。(02,03はまだ読んでいない。)
面白い。絶賛。
奏ちよこ氏は最近は舞台の脚本を書いたりテレビに出たりと活動の場を広げてます。山口県在住ということで、サインをもらいに行きたいくらい。
如月恭介といい忌川タツヤといい幸田玲といいセルパブ作家はすごい。