死んだ後にこぼれ落ちるほどの愛を感じる
死んだ後にこぼれ落ちるほどの愛を感じる

死んだ後にこぼれ落ちるほどの愛を感じる

85/1000「哀しみアプリ」高山環

 

田渕が驚く。 「妻ではありません! 妻がこんな姿をしているはずがありません……」  そう言うと体に残った最後の空気がなくなり、健一の体は真空になった。胸の底にある重みに耐えかねて、健一は体を折る。号泣し、妻の死体に縋り落ちる。布の先からは絶望に似た冷気が伝わった

天涯孤独。

生まれながらに天涯孤独。事故で両親ともに死亡したとか、施設の前に捨てられていたとか。どちらにしても幸せさとは遠い。暖かい家族の中で大きくなった子供とは他人との関わり方も違ってくるだろう。

天涯孤独の主人公が、天涯孤独の女性と出会う。結婚して、子供が生まれて、天涯孤独ではなくなった。ところが、妻が不意の交通事故で亡くなってしまう。普通ならここで物語が終わるのだけど、実は物語はここからが始まりだった。

アマゾンの本の内容紹介にはミステリーだと書いてあった。これはミステリーなのです。妻が死んだのは交通事故じゃなくて、轢き殺されたんじゃないか?。

監視カメラの動画をネットで公開して犯人探しを始めたら、今度は娘が誘拐される。SEの主人公が会社の仲間と画像検索のソフトを開発し犯人を捜す。

スマホに突然インストールされた哀しみアプリは、妻の遺言だったんだね。よくできた物語です。

愛が溢れてます。

kindle unlimited 買えば100円。でも100円じゃもったいない。