世界最高の日本文学
世界最高の日本文学

世界最高の日本文学

88/1000「世界最高の日本文学~こんなにすごい小説があった~ 」許 光俊

世界最高かどうかわわからないけれど、と、こういう書き方をすると、ディスっているのがバレバレだけど、著者の考える世界最高の日本文学についてのレビューを集めた本。

文学の解釈の方法としては、とても参考になるのだけれど、紹介されている小説はどれも短くて、物語とは言えないものがほとんど。この小説はこうゆうことなんだよ、と解釈論を述べて、こういう余韻をもっているんだと感想を述べている。

国語の読解力の問題としてはとても参考になるのだけれど、普通は教科書のようには本は読まないと思うんだよね。研究者のように言葉の一つ一つを解釈しようとしないと思う。

三島由紀夫の小説は「行間を読む自由が少ない」、だから「芸術の神秘に欠ける」らしいのだけど、解釈の少ない小説が素晴らしくないとは言えないんじゃないかな。

コンプレックスをバネに書かれた小説として、嘉村礒多の「業苦」が取り上げられている。嘉村礒多は山口市出身の作家で、生家も墓も見に行ったことがあるので、取り上げられること自体が私にとってはうれしいのだけれど、彼の小説はドロドロ、ウジウジしていると言う。

私小説というのはそういう自分の内面を語るものであっても良い、と思っているので、私は悪いとは思わないのだけれど、著者はあまりよく思っていないようだ。なのにどうして取り上げたのかな。

レビューされている小説は青空文庫で読めるものが多いので、気になった方は是非読んで感想を書いて欲しい。

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