89/1000「不機嫌な姫とブルックナー団 」高原英理
これはブルックナー好きの女子「代々木ゆたき」が、コンサートでブルックナー好きのオタク男子3名と出会い、ブルックナーで交流をする話。
不機嫌な姫というのは「ゆたき」が、ブルックナーのオタクに見られたくないのに、ブルックナー団の仲間になってしまって、それで不機嫌なのです。
この本ではオタクの集う様子とブルックナーのエピソードが半々くらい書かれています。この交流が恋愛とか事件とかに発展しません。そこがいいところなのですが、ブルックナーのエピソードで唐突に終わるので尻切れトンボな感じです。
この後の不機嫌な姫とオタクたちとの交流が続いて、上機嫌な姫に変わるところが見てみたかったですね。この本がブルックナーのことを知ってもらいたくて書かれたものだとすると、これで正解なのかもしれません。目的は成功しています。
私は、音楽はよく聞くのだけど、好きだから聞くというだけなので、この本の中で出てくる3人の内気なオタク達と同じく譜面は読めないし、楽器の演奏もできません。
最初の方で出てくる「ブルックナー団員資格認定テスト」では、ブルックナーの交響曲の主題の区別ができるか、だとか、版ごとの違いがすべてわかるかどうか、だとかの質問があるのだけど、その2つ目にCDを100枚以上もっているか、というのがありました。これは結構ハードルが高いんじゃないかな。
今 google play music で私のもっているCDを検索したら、ブルックナーのCDは5枚ほどありました。ヴァントとクナッパーツブッシュとヨッフムと。でこれが好きなマーラーだと26枚でした。マーラーでさえ26枚しか持ってないんだ。
で、この本を読んだ後では、ブルックナーを買って聞いてみようといい気持ちになりましたね。
では。
iBooksで。1300円。ちょっとだけだけどkindleのほうが安いです。(表紙がながれて消えちゃうので1ページ目の写真を載せました。)