久々に福永の本を開きました。これはこの15日に柳川に出かけたからだけど、柳川で川下りをしている時に急に思い出したもので、それまですっかり忘れていたものでした。
町のほぼ中央に大河が流れ、それと並行して小さ川と呼ばれる川が流れ、その両方の間を小さな掘り割が通じていて、それらの人工的な運河は町を幾つにも区切っていた。
どうしてそんなに沢山の掘割があるのか不思議なほどで、それは両岸を石垣で築かれて、あるかないかのゆるやかな水脚を示していた。
その石垣の上に昔風の二階家が建っていたり、柳や竹の多い庭があったりして、小舟がその下を漕ぎ渡って行った。「廃市」福永武彦)
前日は太陽が照り輝いていてまるで真夏のようだったのだけど、この日は雨で、それも梅雨のじとじとした雨ではなくてひどい大降りで、川下りの時にはかっぱを着ていたのだけど、メガネが雨でひどく濡れて、せっかくの景色が滲んでほとんど見えませんでした。カメラも濡れてしまって、タオルで覆ってました。
廃市という小説は、最初の夜の印象が強くて、題名から来るイメージもあっていかにももう廃れてしまった町、という感じなのだけど、モデルとなった柳川はどこにでもある観光地という印象でした。
雨にもかかわらず沢山の観光客が川下りを楽しんでいて、暗さは感じませんでした。
晴れた日だともっと明るい町に思えたかもしれません。柳川はうなぎのせいろ蒸しが有名で、歩いていると沢山店があったのですが、うなぎはどこでも食べられるので、柳川でしか食べられない有明海の魚を食べてこい、とのある人のアドバイスでイソギンチャクの唐揚げを食べる予定にしていました。(店の場所は聞いてました。)
なのだけど、あまりの大雨で家人が歩くのを嫌がったので残念ながらやめました。川下りの船頭さんはムツゴロウはうまくないけど、イソギンチャクは絶品と言ってたので、次回(いつになるかわからないけど)に期待。
かなり前、大林宣彦監督の映画の廃市のDVDを探したのだけど、すでに廃盤になってました。今回帰ってから又探してみたのだけど、やはり廃盤のままでした。残念です。
柳川では北原白秋記念館に行った後、吉野ケ里へ行ってその後佐賀市のホテルへ。雨がひどいので予定していた筑後川昇開橋と佐賀県立博物館は行けませんでした。
この旅、続きます。