111/1000「星に(なって)願いを」伊藤なむあひ
これは現代の童話です。
この短編集には「星に(なって)願いを」「首なし姫は川を下る」「ものがたりのにおい」「五人の誰かさん」「少年Aと少女Bと死体C」の5つが収められています。
kindleの書評では意味不明とあったけれど、これは童話だからそういう風に読むのは間違っていると思います。大人の常識で意味を求める必要はありません。子どもの心で感じればいいんですね。にげろー、とかこわい、とか思えばいいのです。
「星に(なって)願いを」では主人公のパピコは物語の出だしでバラバラ死体になっています。誰にバラバラにされたのかわかりません。ばらばらにされて気持ち悪いとも痛いとも言いません。
切り取られた体の切り口から血はでていません。ただただパピコはバラバラ死体になったという事実を受け入れています。
昔ばなし大学の小澤俊夫先生の言うように、物語は「残虐には描かれていないし、血生臭くもない」のです。登場人物は物語の世界のありようを素直に受け入れています。
これは他の物語でも同様です。「首なし姫は川を下る」では首なし姫は首がなくても平気です。首がないことで多少の不便はありそうですが会話を交わしてます。死んでいるってどういう気持か聞かれて「わかんない」「自覚がない」と答えてますね。
「少年Aと少女Bと死体C」も同様です。得体の知れないゴーストは自分の死体を探していると思われていて、少年Aたち、少女Bたち、死体Cたちはそのゴーストを探しています。AもBもCも、疑問をいだかずある場所に集合します。
kindleで350円。キャンペーンで99円で買いました。kindle unlimitedでも。